こんにちは、ふみチッカです。
寺地はるなさんの小説「やわらかい砂のうえ」を読みました。
「やわらかい砂のうえ」の概要
版元ドットコム様のサイトより、あらすじをお借りしました。
ためらいなくつないだ手を離せるように、あなたを信じたい。
圧倒的共感度で大注目の著者が贈る“人生がいとおしくなる”恋愛小説。砂丘の町で育った万智子は大阪の税理士事務所で働く24歳。
顧客のウェディングドレスサロンのオーナー了さんに頼まれ、
週末だけお手伝いのアルバイトをすることに。了さんに連れていかれた「あつまり」で万智子は
美しくてかっこいい年上の女ともだちに出会う。そんなある日、サロンに早田さんという男性が現れ、
人生はじめての「恋」のときめきを感じる万智子だったが……。きれいになるのは誰のためかをぜったい間違えたらあかんで――
版元ドットコムサイトより
自分を好きになりたい万智子の、小さな勇気を抱きしめたくなる成長物語。
2020年7月に出版された本で、247ページとなっています。
寺地はるなさんの著書
寺地はるなさんの著書は他に、「ビオレタ」(第4回ポプラ社小説新人賞受賞)、「みちづれはいてもひとり」、「大人は泣かないと思っていた」、「正しい愛と理想の息子」、「夜は暗いとはかぎらない」、「わたしの良い子」、「希望のゆくえ」、「水を縫う」などがあります。
表紙絵は、「プリンセスメゾン」の池辺葵さん
こちらの本の表紙の絵、どこかで見たことがある気がする。
と思って調べてみると、漫画「プリンセスメゾン」の作者、池辺葵さんが描かれているんですね。
お話の雰囲気に合った、とっても素敵な絵です。
お話の池辺さんの絵のおかげで、万智子や了さんなどお話のイメージが湧き、読み進めやすかったです。
ちなみに「プリンセスメゾン」も、素敵な漫画ですので、未読の方は一度読んで頂きたいです。
主人公と一緒に、人との関わり方・自分のあり方を学べるお話
あらすじには”恋愛小説”とありますが、ドキドキ・キュンキュン(残念な語彙力…)する恋のお話という感じではありません。
恋愛も大きな要素ではありますが、
恋愛や友人関係を通して、主人公が成長していく物語だと感じました。
そして読者も主人公と一緒に、友達や恋人との関わり方や、自分のあり方・生き方を学べるお話です。
主人公の万智子は、まじめで仕事もていねいに行う人ですが、自分に自信が持てずにいます。
でも万智子は、出会った年上の友だち達との対話によって、自分の考えを見直していきます。
わたしは万智子の素直さが好きです、見習いたい。
自分の意見を言ったときに、ガーンと「それは違うよ」と言い返されたときも、万智子はちょっぴりいじけながらも素直に受け止めます。
この素直さがあるからこそ、友だちは万智子に対して、時にはキツく、真剣に話をしてくれたし、万智子は変わっていけたんですね。
相手のこころは相手のもの
本書を読んで、自分自身の人への接し方・考え方を改めて、振り返りました。
人と接する上で、わたしは相手を”こういう人だ”と決めつけることがあります。
自分が見ているのは相手のほんの一面であるにも関わらず、その一部分を全体だと認識してしまったり。
勝手に人物像を作り上げた上に、自分が思っていたイメージと違う言動を見ると、「そんな人だと思わなかった、自分とは合わないな」とか思ってしまったり。
そして、よくよく話もせずに距離をとって離れてしまったり。
冬さんの事情。美香さんの怒り。菊ちゃんの不安と、早田さんの苛立ち。わたしはそれらを、もっと尊重すべきだった。彼らの心は、彼ら自身のものだった。
「やわらかい砂のうえ」より
わたしはただ欠けたり、不用意に傷をつけることのないように、そっと手のひらにのせればよかった。正しいとか、間違っているとか、賢しらにジャッジするより大切なことがあったはずなのに。
わたしはどうしても、自分中心にものごとを考えてしまっていて。
相手の気持ちを考えられずに、考えようともせずに、行動してきた自分を反省します。
本書を読んで、そういった普段見過ごしたり、流してしまったり、諦めてしまう行動や気持ちに対して、キチンと向き合えるきっかけになりました。
おわりに
感想というよりも、なんだか抽象的な文章になってしまいました。
うまく書けなくて申し訳ないです。
ここでは万智子のことしか触れていませんが、それぞれの登場人物たちも魅力的ですし、寺地さんのつむぐ素敵な言葉がいっぱいです。
(「自分の意見を言う時は殴られる覚悟が必要よ」のセリフとか好きです)
お読みになった後は、自分に自信を持って、前を向いて歩いていこうと思えるはず。
それでは、お読み頂きまして、ありがとうございました!!
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