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ワクワクしながら学べる小説!「八月の銀の雪」(伊与原新さん)

小説
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こんにちは、ふみチッカです。
本日は伊与原新いよはらしんさんの小説『八月の銀の雪』を読みました。

小説でありながらも、地球や生き物のことについて物語を読みながら学ぶことができる本です。まったく知らなかったことばかりで、しかも内容がおもしろいので、知的好奇心を刺激されつつ、ワクワクしながら読ませて頂きました!

「八月の銀の雪」の概要

新潮社サイトより、あらすじをお借りしました。

 不愛想で手際が悪い――。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた真の姿とは(「八月の銀の雪」)。

会社を辞め、一人旅をしていた辰朗は、凧を揚げる初老の男に出会う。その父親が太平洋戦争に従軍した気象技術者だったことを知り……(「十万年の西風」)。

科学の揺るぎない真実が、傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。

新潮社サイト

こちらの本は、2020年10月に発売された、書き下ろしの小説です。

ページ数は253ページで、5編からなる短編集となっています。それぞれの短編につながりはないので、興味のあるお話から読んでいっても大丈夫です。

 目次

  1. 八月の銀の雪
  2. 海へ還る日
  3. アルノーと檸檬
  4. 玻璃を拾う
  5. 十万年の西風

伊与原新さんの著書紹介

伊与原さんは、『八月の銀の雪』以外に、

  • 『お台場アイランドベイビー』(横溝正史ミステリ大賞受賞)
  • 『月まで三キロ』(新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞受賞)
  • 『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』、『磁極反転の日』、『ルカの方舟』、『博物館のファントム』

など多数の作品があります。

 

「八月の銀の雪」の感想

ワクワクする知識がいっぱいの物語

本書は短編5つがおさめられていますが、それぞれのお話が”地球の内側”だったり、”クジラ”や”伝書バト”の生態だったり、”珪藻アート”だったり、自分がまったく知らない世界のお話が書かれています。

かなりマニアックな知識が書かれていますが、知識だけが羅列されているわけではなく、それぞれの物語の内容に自然におり交ぜられているので、まったく難しくありません。

お話を読み進めるうちに自然と情報が入ってきて、とっても興味深く読ませて頂きました!

クジラは考えごとをしている?

わたしが特に好きだったのが、2つ目の『海へ還る日』というお話です。
主人公の女性が子どもと一緒に訪れた自然史博物館でクジラの絵と出会い、クジラへの興味を持つようになります。

このお話のなかでクジラのことが書かれていますが、それがとても興味深いんです。

ザトウクジラは繁殖期に歌を歌ったり、さらにその歌を変化させたり。
実はニューロンという情報処理に特化した脳内の細胞がヒトの2倍もあったり・・・
まったく知らなかったことばかり。

一方、光に乏しい海で生きるクジラたちは、おもに音で世界を構築し、理解している可能性がある。文字や技術を持たないので、外に向かって何かを生み出すこともほとんどありません。だったら彼らはその立派な脳を、膨大な数のニューロンを、いったい何に使っているのか。もしかしたら彼らは、我々とは違って、もっと内向きの知性や精神世界を発達させているのかもしれないーということなんです。

私なりの言葉で言うと、クジラたちは、我々人間よりもずっと長く、深く、考えごとをしている

『八月の銀の雪』p107

ヒトは外からインプットした情報を、こんな風に文章にしたり、発言したり、表現したりアウトプットがいろいろな手段できます。それは外向きの知性である、と。

対してクジラはヒトより多いニューロンを持っているが、そのニューロンを何に使っているのか?外に発しているのではなく、内向きの知性として使っているのではないか。

これめっちゃ興味深いと思いました!

クジラはその大きな体で広く深い海を悠々と泳ぎながら、哲学者のように自分の頭の中でずーーっと思考をめぐらせていて、人間には はかり知れない世界を生きているのかもしれません。

残念ながらクジラと話すことができないので、クジラの考えごとを聞くことはできませんが、クジラの考えごと、聞いてみたいですねー。

宇宙人がクジラの歌を詠み解いてくれるかも!

本書に記載されていたんですが、NASAが打ち上げた探査機『ボイジャー』には世界中の言葉や音楽、自然の音や動物の鳴き声などが録音されたレコード(ゴールデンレコード)が積まれているそうです。そしてその中に、ザトウクジラの歌も入っているらしいです。

もしかしたら宇宙人ならクジラの歌を理解できるかも??そうしたらクジラの考えごとも分かるかも??

夢のような話ですが、こういう空想めっちゃ好きです。ワクワクして楽しくなってきます。

知ればもっと知りたくなる

新しいことを知ると、次第におもしろくなってきて、もっと知りたいと思うようになります。

本書を読むまでクジラのことはほとんど興味がありませんでしたが、いまはクジラのことをもっと知りたいし、クジラを見てみたいとクジラ熱があがっています(笑)

とりあえず、この物語の舞台となった、国立科学博物館へ行ってみたいなぁ。

おわりに

クジラのお話をピックアップして書かせて頂きましたが、他にも地球の内核のお話(八月の銀の雪)や、伝書バト(アルノーと檸檬)のお話、珪藻アートのお話(玻璃を拾う)など、いずれもおもしろいお話ばかりです。

知らなかった知識をものがたりを読み進めることによって、知ることができて、ワクワクしながら読書することができました!

ものがたりも楽しめるし、知識も増えるし、楽しい読書体験でした。クジラの話題が出たときは、この本で学んだ知識をドヤ顔で披露できそうです(笑)

本日はお読み頂きまして、ありがとうございました!!

それでは、また~

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