こんにちは、ふみチッカです。
伊坂幸太郎さんの小説『逆ソクラテス』を読みました。
この本は5つの短編から構成されています。
短編なので続き物ではありませんが、そこは伊坂さんの作品なので、
「これはもしかしてお話同士がつながっているのでは??」
と勝手に勘繰りながら読んでました。
私が気になったポイントがいくつかあったので、それについてつらつらと書いていきます。
ネタバレあり、なのでご注意下さい!
①逆ソクラテス
冒頭にある、テレビの野球中継を見ている人
ボールをキャッチした中堅手は、「顔を洗って、ちゃんと自分の目で見てみろ」というサインをしました。
これは小学生時代に、プロ野球選手による野球教室が行われた際、安斎くんが、「もし草壁が野球選手になったら、テレビに向かって俺たちに向けて合図を送ってほしい」と言っていました。
その合図が、まさにボールをキャッチした中堅手がおこなったポーズだったので、この野球選手は、草壁くんである、ということでしょう。
そしてその野球中継のテレビを見ている人は、その草壁のサインを見たあとにテレビを消しています。
さらに冒頭でテレビをつけたときにの文章で、
「先ほど消したばかりではないか、とテレビが苦笑するのが聞こえるようでもある」
と書いてあるので、テレビを点けたり消したりしていることが分かります。
小学生時代に上記のサインの話をしているとき、
「もし久留米先生がテレビを見ていたら、驚くだろうな」
「たぶん、つらくてテレビを消しちゃうぜ」
と言っているので、おそらくテレビを見ていた人=久留米先生だと思います。
安斎くんのその後は??
あと安斎くん。
小学校を卒業して”苗字が変わった”こと、”東京でチンピラ風になっていた”とあって、ここが引っ掛かりました。
というのも、5つの短編の中で、「逆ソクラテス」だけが、
基本的に苗字で呼び合っているんですよね。
だから安斎くんの下の名前は分かりませんし、苗字が変わったら、他の話に出てきたら安斎くんだと分からない仕掛けになってるのか?
と思いましたが、結局分かりませんでした・・・。
買ったばかりのテレビ
もう一つ気になったのが、冒頭で野球中継を見ているこのテレビに関して、
「買ったばかりの大画面テレビはまだ他の家具とは馴染んでおらず、」の文章です。
ここは、あとの話のところとつながってるのかなーと思ったので、後ほどそこで書きます。
②スロウではない
たびたび登場する磯憲先生
磯憲先生について、
磯憲はこの「スロウではない」と「アンスポーツマンライク」の2つのお話に出てきます。
「スロウではない」の磯憲は、
”ほとんど新卒”とあるので、
勝手に「アンスポーツマンライク」より前の話だと読みました。
そして大人になった司が会っている磯憲は、病室におり白髪頭になっているので、何十年が経過していることが分かります。
高城かれんは、字がきれい
結局、悠太と村田花が結婚しましたが、もう一人、高城かれんについての気になるポイントがあります。
それは小学生のときに、高城さんが速く走る走り方を調べてきてみんなに教えているシーンで、
「高城、字うまいなぁ」
「高城さん、字、ほんと綺麗」
と言われていたことです。
こちらについては、また後のお話で出てきますので、とりあえず、
「高城さんは字が綺麗」と覚えておきましょう。
③非オプティマス
保井福生くんの父親
この話で気になったのが、保井福生くん。
「うちはお母さん一人だよ」というセリフと、久保先生も恋人が死んじゃったことに慣れるのかな?の問いに、「僕はやっと慣れてきた」と答えたことから、
おそらく福生くんの父親は亡くなったのではないかと思います。
福生くんが薄くなるまで着ているOKINAWAのTシャツは、前にお父さんが買ってきてくれたものだそうですが、OKINAWAってどこかで聞いたな、と思ったんです。
その沖縄が出てきたのが、ひとつ前の話「スロウではない」の司です。
司は小学校を卒業した後、父親の転勤で友達と離れることになりましたが、この転勤先が沖縄でした。
でもの後もあちこちに引っ越した、とあるので沖縄にずっといたわけではないよう。
いろいろ考えましたが、この”沖縄”はつながらないようなので、たぶん関係ないかな、という結論になりました。
④アンスポーツマンライク
またまた登場の磯憲先生
ここでは磯憲がミニバスのコーチとして登場。
高校生になった歩たちが磯憲のお見舞いに行っていますが、その中で「まだ若いのにがんなんて・・・」という文章から、磯憲は若くしてがんを患ったことが分かります。
その6年後にまた歩たちが再会したときにも「もう六年だよ。想像以上にしぶとい」とあり、また磯憲宅へ行こうと言っているので、そのころも自宅療養しているようです。
前の「スロウではない」での”未来”では、病室で白髪になっている磯憲なので、そちらの方が、時系列としては後なのかな、と思います。
三津桜の父親
三津桜のお母さんが出てきたときに、「離婚したお父さんはヤンキーだったけど」とあって、”ヤンキー”って誰かいたような、と思ったら、
「逆ソクラテス」で、大人になった安斎くんが”チンピラ”になっていた、という文章でした。
三津桜の父親=安斎くん、
これは、さすがに違いますかね・・・。
もう勘繰りすぎてよく分からなくなってきます。
⑤逆ワシントン
はい、やっと「逆ソクラテス」や「スロウではない」で後で書きます、と言っていたことがここで出てきます。
(電気屋さんの店員=”「アンスポーツマンライク」の通り魔の犯人”は分かりやすいので、ここでは省きますね)
「逆ソクラテス」の買ったばかりのテレビについて
逆ワシントンでは、謙介の家のテレビが壊れており、最後のシーンで、テレビを買っています。
ここで、おぉ、つながった!
謙介の父親は久留米先生??と思ったんですが、謙介の父親は単身赴任で大阪にいるので、謙介たちとは離れているんですね。
それなのに、逆ソクラテスでは自宅でテレビを点けている風なので、
どゆこと??
単身赴任から帰宅しているところ?
もしくは全然つながらない関係ない話?
とスッキリしません。
みなさん、どう思います??
(投げかけたーーーー)
あれ、ここまで全然つながってませんね。
すみません。
最後にこれはつながったやろ!と
思ったことがあるので、聞いて下さい。
謙介のお母さん
それは謙介のお母さんです。
この本の中で、私が一番好きなキャラであるお母さん。
謙介の姉の回想話で、お母さんが学校の書写の授業の手伝いに来ていたとあります。
そこで、なんで??と思いました。
なぜお母さんが書写の手伝いにくるか、
ボランティアとして?
書道の先生だから?
ただ単に字が綺麗だから?
字が綺麗?
・・・いました!字が綺麗な子が!!
はい、「スロウではない」で書きましたね。
字が綺麗な子=高城かれん です。
さらにこの謙介のお母さんは、その授業のときに、クラスで起こっているいじめを目撃し、いじめについて生徒たちに話しています。
この”いじめ”というキーワードも「スロウではない」で出てきていました。
そう、「スロウではない」では、高城かれんが転校してくる前の学校で、”いじめをしていた”ということが語られています。
ということは、謙介のお母さん=高城かれん!!
たぶんこれはつながっているだろうと、もう勝手に決めつけました。
結論:結局つながりはよく分からず!
私なりに2日くらい(短っ!!)考えてみた結果が、上記の通りです。
ただの勘繰りすぎで、ほんとは「なんでもないよ~ん」な話なのかもしれません。
本の後ろの方の、各話の「初出」を見てみますと、「逆ソクラテス」と「スロウではない」は、別々の時期に単独で書かれたもので、あとの3作のみ書き下ろしとなっています。
どうなんでしょう、やっぱり関係ないのかな。
みなさまは、どうお読みになられたでしょうか??
推理するの好きな方、”犯人当て”小説はいかがですか?
『スキマワラシ』は、ファンタジーとミステリーの両方が楽しめます。
二度読み必至のホテルミステリー小説です。
美しくも悲しいミステリーです。
コメント
逆ワシントンの店員さんの息子が安斎くんなのじゃないかな?って思いました。
ぴらりん様
安斎くん、気になっていたんですが「逆ワシントン」に登場してたんですね!?
長らく読んでなくて記憶があやふやなので、また読み返したいと思います✨
お教えいただきまして、ありがとうございました!!